週末また雪が降り、そしてネット環境が劣悪だったので、古い本を引っ張り出して読んだり、子供と映画を見たり。夫がいなかったのでナバホの母の所に泊まりに行き、寒いからシチューが食べたい!って言ってマトンシチュー&フライブレッドを作ってもらい、ゴロゴロとした週末を過ごしながら、こういう「オフ」って私には欠かせないものだなってつくづく思いました。
だから人は旅に出るんだろうね。だから私もみんなに旅に出てほしがるんだろうね。(笑)
さて、今日は「バイヤー」というお話。
バイヤーの今
昔は「海外に買い付けに行っている」というだけで、みんなに「すごい!」とか言われ、少し尊敬の眼差しで見られ、自分自身も少し鼻が高くなっていたような気がする、そんな「バイヤー」という魔法の言葉。
でも企業の海外進出や旅行が日本人にとっても身近になり、ネットでいろいろなモノの値段が一目瞭然で分かる今、「海外の商品を買う仕事であるバイヤー」の仕事内容がかなり変わってきています。
ストーリーを買う
最近よく言われている「モノを買う価値観の変化の問題」につながってくるわけですが、今は「物語を伝えるバイヤー」じゃなきゃ成立しなくなってきていると思います。
同じものだったら、海外のebayのサイトから簡単に買える。もちろん、簡単には買えないような古いものとかレアなものもありますが、そういうものでも今は情報さえ得られればメールをして、お金を払って買えるようになってきている。
そういった、「モノを流すのをメインとするバイヤーさんたち」がどんどん増えていると思います。海外へ行ったから、副業のために商品を探してネットに売ってみようとか、そういう人。それをいいか悪いかって言っているんじゃなくて、私が言いたいのはその先。
アフリカに行って、かわいいアクセサリーがあって、それを買って、お小遣い稼ぎに日本のお客さんに売る。アフリカの民芸品がもっと日本で広まればいいなと思って、それをビジネス化する。
→ステキ!ストーリーがある!
アメリカのブランド物を日本で売ればお金になると思って、たくさん買って、日本のお客さんに売る。
→そこにそのアメリカのブランドがステキだから日本にも広めたい!っていう愛があれば違う。それは立派なストーリーになると思う。でもそうじゃなくて、右から左へ流せば自分にお金が入ってくるっていうところに目的があったとしたら、私はその人から買いたいかというと、ちょっと疑問。
でもそれって、お客さん側からだと簡単には見えないんだよね。
経営者の人たちがメディアに出て有名になる意図もそこだと思う。この人が社長の、その製品を買いたいって思わせる。
モノと一緒に、人の理念と背景のストーリーを一緒に買ってる。
それは小さい店でも、大きなブランドでも同じ。
私は唯一ブランドだとコーチが好きなんだけど、なぜかっていうとコーチってレザーの会社だから。昔から革製品が好きだから、歴史ある革製品のコーチは革の素材がいいから好き。
だから、コーチの名前を買っているっていうより、その信用を買ってるって感じ。
きっとヴィトンが好きな人もそういうことなのかなって思う。
「店員さんが好きだから会いに来ちゃう」「このレストランは接客がいいからまた食べに来よう」「色々教えてくれるからまたこのお店に来よう」
目的は何か
何事もすべてお金がないと回らないから「お金を稼ぐこと」が目的になりがちだけど、もともと会社ってそうじゃない。
「すっごいいいサービスができたから、みんなに使ってもらいたい」
「やばい技術の職人さんの商品を見つけたから、広めたい」
「おいしいから、もっと買ってほしい」
すべてそういうところ。
そのために会社を作って、会社をもっと大きくして、お金を作る。お金は手段で目的は別のところにある。
すでに価値のある歴史的コンテンツ
インディアンというものは、それだけですでに価値のある歴史的なコンテンツ。そんなインディアンが作ったジュエリーには背景がすでにあるし、簡単にストーリーが作り出せる。バイヤーにはうってつけの商材。
それを利用して右から左へ流す人たちが結構いる。(日本ではあまりないけど、特にアメリカ国内はそういう人も多い。)
じゃ、そういう人もいるというのを含めて、インディアンジュエリーをどこで買いますか?
ヤフオクで買う?
現地買い付けしているお店で買う?
どっちにしても、「商品を流す人の愛」を感じられるお店で買いたいな、と私は思います。
そして今後、そういう人が社長であり店員でありバイヤーさんじゃないと、商売は成り立たなくなってくるだろうな、と思います。
そういう面で私はバイヤーとして、「作り手に愛があること」もとても大事にしている。
例えば、通販番組の電気製品販売でめちゃめちゃ稼ぐ人は、実は「その工場を見学したりしてその作り手の愛や技術を目の当たりにしている」っていう話を聞いたことがある。
右から左へ流すことが商売のような感じがするバイヤーの世界は、実はとても奥が深い。
だから、「バイヤー」はまだ魔法の言葉だと思うし、私も今では自信をもって「バイヤーです」と言える。
アメリカ、ニューメキシコ州在住、居住歴10年。ナバホ族の夫とリザベーションで二人の子育てをしながらインディアンジュエリーにかかわる仕事をしています。インスタ、ツイッター、Facebook、Youtubeがありますがインスタが一番身近な感じかと。
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