こんにちは。ついにワクチンの許可がアメリカでもおりました。何よりも早く子供たちが学校に行って友達と遊べる日が来るのを、(そして早くホームティーチャーから解放されるのを)待ちに待っています。
クリスマス会ができなくて、ネットで買ったクリスマスギフトを車から渡すだけという何とも言えないクリスマスになりそうな今年。何を買うにも、ネットでの限界を感じている最近です。
さて、今日は旦那と話していて知った「暖を取る」という重要性について書いていきます。
暖を取ることの大切さ
12月からのニューメキシコ州はかなり寒いです。気温は最低マイナス20度とかになることもありますが、日本とは違い湿度が低くカラッとした寒さだし、何よりも車社会なので外にずっといることがあまりなく、体感としては実際は日本の方が寒さを感じるような気がします。
そんな今日は薪を割って、大量の薪を家の外に運びました。どの国でも火というものは原始的に大切なものですが、そんなことって現代で考えることないですよね?日本で考えるときはキャンプぐらいでしょうか。。
ネイティブアメリカンにとっては、火はとても大事なもの。
電気ガスがない家は、ストーブの上で料理をして、そこで体を洗うためのお湯を準備します。
儀式のときには絶対に火を起こして、暖を取ったり、夏はそこで羊のお肉を焼いたりします。
火は家そのものだから、火の周りは絶対にきれいにしておくようにとダンナはお母さんに言われていたとか。だからストーブの周りは絶対にきれいにしています。
長い間家を空けることがあると、帰ってきたらまずは火をおこすという人も多いそうです。また何か特別なお料理を作ったら、「火に食べさせる」という意味でストーブの中で料理をしたりする人もいるそうです。
そんな寒さの厳しいニューメキシコ州、アリゾナ州。ヒーターなんてない時代は火がすべて。そんな時代に行われていた儀式ではこんな光景がよく見られます。
ブランケットに身を包む人たち。ナバホラグの話でも出てきますが、もともとラグが織られていたのは、冬の間の暖を取るため。だから初期のナバホラグは本当に大きい、キングサイズベッドのサイズが多いんですね。
ペンドルトンブランケットは特別
それに変わり現在ブランケットとしてネイティブアメリカンにとっての代名詞となっているのがペンドルトン。こちらは現代。おばあちゃんたちが伝統的衣装をまとった写真。
みーんなペンドルトンのブランケットを巻いています。
ペンドルトンは日本でもちょっと流行ったので知っている方も多いかもしれませんが、ネイティブアメリカンの人たちにとって、ペンドルトンのブランケットと言うのは特別なものです。
ペンドルトン社は1863年からオレゴン州でウールの織物を作っている会社なのですが、ネイティブアメリカンのデザインにインスパイアされた織物を作っていて、それが1990年ごろから鉄道を通してニューメキシコ州、アリゾナ州のネイティブアメリカンにも渡ります。ペンドルトンは衣服としても、そしてトレードできる品物としても使うことができ、ペンドルトンのブランケットを何枚かとジュエリーを何点か持っていればお金持ち、そんな風に価値の基準にもなっていきます。
これは現在でも同じで、特別な時の贈り物、例えば結婚式や退職、そんなときには欠かせない少し高級で伝統的な贈り物でもあります。
やがてペンドルトンのブランケットは儀式にも使われるようになり、衣装としてだけではなく、儀式の際に下に敷く敷物や、壁を飾るものとして欠かせないものとなります。
絶対にチーフジョセフ
ペンドルトンのブランケットでも、この「チーフジョセフ」という柄のものが一番伝統的で、一番人気で、一番不変の価値を持っています。
ネイティブアメリカンの人々にとってジュエリーはお金であり、何かあった時に質に入れてお金にすることができる財産であるということを何回かこのブログでも書いていますが、ペンドルトンのブランケットも全く同じ役割を果たします。
質屋には、質に入れられたペンドルトンのブランケットがずらーっと並んでいます。
ちなみに儀式の際は「男性はこの写真のタイプ」、「女性はこれにフリンジが付いたショールタイプ」と決まっています。結婚式も、儀式のときも、そしてお葬式にもチーフジョセフのブランケットが贈られます。
チーフジョセフという人は実在のネスパース族というアイダホ州やオレゴン州で1870年ごろから1900年ごろまで、戦わずして平和を勝ち取ったという伝説のチーフ。とても有名な人なので写真は見たことがあるという人もいると思います。
そのチーフジョセフの名をとったこのデザインは、ペンドルトンとネイティブアメリカンの不変のデザインとなって、今でも特別な価値を持っています。
このブランケット、小さいムチャチョ(スペイン語で少年という意味)サイズもあるのですが、それはベビーブランケットとして使われます。そして最近人気なのはジャガード織のタオル。
でもでも本当にネイティブアメリカンにとって価値のあるオリジナルのものは、2メートルあるラージサイズのウールの厚手のチーフジョセフ。
うちの店でもペンドルトンのブランケットは扱っていますが、ほとんどが売る用というよりも、アーティストが贈り物として必要な時に買ったりトレードしたりする用に店に置いています。
暖を取ることから、貨幣ともいえる取引の商品になったペンドルトンのブランケット。厚手のこのオリジナルのチーフジョセフは日本ではかなり重いし大きいのですが、冬の間大きめのソファーとかにかけて、時には体に巻いてネイティブアメリカン気分を味わうのも楽しいかも。
日本では「ネイティブ柄」というので人気になりましたが、実はこうやって伝統的アイコンとして本当に使われているものです。
最近ではアクリルの中国製のペンドルトンもどきみたいなものもたくさん出回っていて、もちろんここニューメキシコ州でも山のように売っています。でもその気軽に普段使いできるというリーズナブルな毛布とは違い、本当に大切な人、大切な時に送ることができるものは今でもペンドルトンのブランケットなんですね。
なんだかペンドルトンの宣伝になってしまいましたが、そんな暖を取るということの歴史について書いてみました。
日本のオリジナルサイト、一応貼っておきます。
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アメリカ、ニューメキシコ州在住、居住歴10年。ナバホ族の夫とリザベーションで二人の子育てをしながらインディアンジュエリーにかかわる仕事をしています。インスタ、ツイッター、Facebook、Youtubeがありますがインスタが一番身近な感じかと。
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