時給では計れないナバホラグの価値

Native American

こんにちは!

最近はめっきりホームティーチャーをし、夜な夜な仕事。まだ仕事という存在があるだけありがたいのですが、すべてが親にかかってくるこのオンライン教育が本当にいつまで続くのかちょっと不安になってきました。(今のところ11月まで)

聞く人聞く人、みんなオンラインはダメ!大変すぎ!と言っているけどオンラインしか選択肢がないから親が頑張るしかありません。こんなに子供たちと過ごせる時間があるのは後にも先にも今しかないとは思えるときもあれば、その毎日が無意味な気がして来るときもあり、でも少し増えてきた白髪を見てはこれからは自分たちだけじゃなくて子供たちに未来を託さないととも思っています。(笑)

さて今日は、インスタでもかなり反響をいただいたナバホラグのお話。

おばあちゃんが織るナバホラグ

 

ナバホラグをイメージするのに、日本でいう「地域の伝統的な手織もの」をイメージしてもらうのが一番早いかと思います。

産業革命なんてそっちのけの、「伝統的な価値」が売り。

織物なんて産業革命以来ほとんどのものが機械化される中、それでも手織りで、その中でもまるで壁画のように美しく正確に織られた織物には伝統的でアートな価値が付きます。

ナバホラグについての最強コンテンツ
現在、スティーブは日本におります。私はここニューメキシコ州に居残り。 ブログ読者で東京のショーに顔出せる方、ぜひお立ち寄りください。 さて今日はナバホ族の作る織物、ナバホラグの話。 ナバホラグについて ...

↑ナバホラグの簡単な説明を記事にしています。

 

羊の毛を飼って、それを毛糸にして、それを織ってできた織物。

 

そもそもラグがそうやって作られていることすら忘れてしまいますよね。

ナバホラグのすごさは、この工程をすべて自分の手でやっている人がまだまだたくさんいるということ。

羊というのはナバホ族にとって欠かせない動物。羊をたくさん飼っていればお金持ちだった時代があり、今でも伝統的な生活様式には羊を飼うということは欠かせません。

外に出て鹿などの狩りに出ていた男性と、羊飼いをしながら子育てをしていた女性。毎年羊の毛を狩る時期に、その羊の毛を紡いで毛糸にし、近くにある植物で染色し、それをラグに織る。そうやってナバホラグが伝統的な工芸品となっていきました。

近代化でもはや「おばあちゃんが作る手織物」のような存在。もちろんジュエリーと同じで、有名な人はとても有名でコレクターもたくさん存在しますが、全体的な織り手はめちゃくちゃ減っています。

 

やり方を知っている人は、「木と、羊の毛とロープ」があれば織ることができる。シルバースミスにも共通するものがあります。ジュエリーは「銀とハンマーと火」があればできる。

織物とジュエリーが伝統工芸となった背景にはそんな歴史があったことをついつい忘れてしまいがちです。

ナバホラグの価値

ナバホラグって簡単に言えば敷物ですが、価格が高いので敷物として靴でドスドスと上を歩くのには凡人にはもったいなさすぎます。私も10年以上前、思い切ってめちゃくちゃ高価なナバホラグを買ったのですが、敷物にはできず大切にしまってあります(笑)

なので、ナバホラグは飾りとして集める人が多いんですね。アートと同じ感覚です。

でもアートにお金をかけられる人ってやはり一握りの人やよっぽど好きな人しかいなくて、ナバホラグという需要自体もさらに少なくなっています。

ナバホラグというものを知らない私でもこれはジュエリー以上に顕著だなと思っていたので、もう少しナバホラグを身近に、敷物や飾り物だけではなくてもう少し実用的なものを作れたらと思っていて、それが今回ようやく形になったという経路があります

ナバホラグのことをまず知らなきゃいけないので、2か月クラスに通って自分でラグを織れるようになったら見事に織ること自体にハマってしまいました!

ナバホラグは、信じられないぐらいの時間がかかります。

50センチ×25センチのラグを織るのに、私はだいたい30時間。早い人で20時間だとして、時給1000円に換算しても時間だけで2万円。

それが2万円で売れたらいいけど、よっぽどの作品ではないと2万円では売れず、せいぜい5000円か8000円とかで売るしかない。トレーダーとしてお客様に売る側としてもランチョンマットサイズのラグは2万円以上で売るのは難しいのはすごく分かります。

そんなこんなで、昔は物価が低かったし他に稼ぐ方法がなかったからラグを織っていた人はどんどんと引退。おばあちゃんの手織物に興味を示す若者はいますが、生活としてラグを織るには全く割に合わない。

もちろんそうじゃない人もいるし、今でも作家としてバリバリ活躍している人もいますが、一般的な俯瞰としてはそういうイメージのあるナバホラグ。

ちなみにニューメキシコのチマヨという地方の横織りで織ったラグは、ベストやバッグなどに製品化されて日本でも人気があります。機械織りなので値段はナバホラグの5分の1ぐらい、でも伝統品としても、ファッションアイテムとしても人気。

それなのにナバホラグが若者に日の目を見ることがないのがなんだか悲しくて、うちの店から少し何か新しい提案をできないかと思っています。

 

まだ縫いの技術が甘すぎるのでバッグの販売価格は200ドル前後にしたのですが、本来はナバホラグのバッグはデザイン性に関係なく500ドル~1200ドルとかで値がついています。日本で売るとしたら何だかんだ6万円とかになるんだろうという感じ。

デザイン性+織りというものの価値、時間、そういうものを分かってもらえる人に使ってもらいたいなぁ、そしてラグの織り方を学んだので他の人の眠っているラグを実用化したバッグなどのアイテムに変えていくというプロジェクトにようやく移行できそうです!!

かなり昔から言ってるから、ようやく動いたよって言っている人の声も聞こえる(笑)

 

 

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