ナバホ族の卒業式

Native American

アメリカの卒業シーズンは5月中旬。

ちょうど今、親戚の甥っ子姪っ子の卒業式や卒業パーティで忙しい人が多い時期です。

 

学校が5月中旬で終わるというのは日本人からすると何とも中途半端な感じがするのですが、アメリカ人にとっては当たり前。今回はそんな卒業式関連の話です。

 

高校卒業は大イベント

16歳ぐらいから18歳ぐらいまで行く高校生活。

一年生はフレッシュマン

二年生はソフトモア

三年生はシニア

という言葉で呼ばれるので、日本人の脳で「ソフトモア」=「高校二年生」に直感的に判断できるまでに結構な年月がかかります。

 

まず第一にネイティブアメリカンの子供たち、実は高校中退率がとても高い。

そして大学に行く子供達も一握りです。

 

ナバホ政府の出している報告によると、

アルバカーキやサンタフェなどの都会の中退率 12%

に比べ、

ナバホ族平均 22%
一番高い地域 32%

 

ナバホ族の中でも奥深いリザベーションになるほど中退率が高い傾向にあります。

 

その理由はいろいろあると思いますが、

朝6時に寒い中毎日バスを待たなければいけないのでおっくうになってしまう。

親の羊飼いの仕事を手伝わなければいけない。

そもそも親が学校教育を重要だと思っていない。

GPA(Grade Point Averageの略で、高校や大学などで一般的に使われている成績評価の指標)や出席日数が足りず卒業できなくて諦めてしまう。

などが一部の理由だと思います。

 

だから、高校卒業できるということはとてもとてもよくやった!頑張った!という事。

 

それはそれは盛大にパーティをして祝います。

 

大学に行かない人が多い

 

 

高校卒業後はどうするか。

 

大学の「学士以上」を持っている率 (2018年)

アメリカ全体 31%
アルバカーキ、サンタフェ 32%
ナバホ族平均 7%
アメリカ全体も少ない気がしますが、こう見るとナバホ族は圧倒的に低いですね。
では大学に行かないとするとどうするか。
近くで職を探す
親の手伝いや自分で仕事をする
何もしないで政府の援助を受けて生活する

何もしなくても生きていけるネイティブアメリカンにはこのような選択肢があります。

リザベーション(居留地)って何⁉︎
私、夫と一緒にリザベーションに住んでるんです。というと、え!?(っていうかリザベーションって何?)っていう人が多いので、簡単に説明してみます。 リザベーションの定義 毎度おなじみのウィキペディア先生によれば、 「インディアン居留地...

 

だからさらに、高校卒業は日本でいう「成人式」のような感じ。

これで学校教育が終わって一人前! 高校を卒業できた、よくやった!

日本の「高校卒業」の感覚よりはもっともっと一大事で、卒業式にはあらゆる親族が駆け付けお祝いをします。

 

準備が大変な卒業パーティ

これは来週卒業するナバホ族の子の写真を頼まれてとったもの。この写真を使って卒業の日のお知らせ、卒業パーティの招待状を親戚一同に送りました。

 

人口二万人の町ギャラップにある公立高校でも、毎年200人近い卒業生がいます。

そのため子供がシニアに入ったら、卒業パーティの会場予約をできるだけ早くして、卒業のための準備を着々と進めるのが家族の仕事。

みんながやるのにうちだけやらないわけには行かないので、今の時期は毎日あらゆる会場で卒業パーティが行われています。

 

ちなみにそのリアルな状況は、パーティのための準備すべてに現れます。

〇天下のウォルマートの風船コーナーが空っぽ。

〇地元のケーキ屋さんは早く予約しないとケーキを作ってくれない。

〇卒業式の当日、前日はどこの店でも花が売り切れる。

など、参加する側も早めに準備をしておかなければいけない始末。

(私は今年卒業パーティの飾り担当になったので、飾りにつかうものは早めにすべてネットで注文しました。)

 

 

人生の大仕事を終えたともいえる「高校の卒業式」

卒業パーティでは料理がふるまわれ、お金やギフトを卒業生に渡し、今後の健闘や過去の思い出などを家族がスピーチしていきます。

アメリカのパーティ文化は親戚一同が集まって感謝や励ましを送る、とても素晴らしい文化です。

まとめ

一通り義務教育を一周して元に戻り、まず「学校教育自体が必要かどうか」がとても大きな議論になっている日本ですが、ネイティブアメリカンの世界はまだ学校に行って勉強すると言うのが100%当たり前の共通観念ではありません。

 

学業ができたからって成功するわけじゃないのは分かるけど、リザベーションの中に閉じこもって毎日羊飼いの仕事をする毎日だったとしたら、学校教育を通して人と出会い、もっと色々な可能性に触れることもできるのかなとも思います。

と言ううちの夫も高校中退、同年代の兄弟や1970年代生まれの甥っ子の世代もかなり中退率が高かったようでインディアンジュエリーのアーティストでも高校中退者は珍しい話ではないのです。

今回はナバホ族のことを書きました。個人差や都会に近いか遠いかで変わると思いますが基本はネイティブアメリカン全体の考えと同じだと思います。

 

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