インディアンジュエリーの深刻な問題

Indian Jewelry

今日は親知らずを抜くのに半身麻酔の手術をしました。(変な方向に生えてきてしまったので普通の方法では抜けなかったみたいです。

酸素に点滴、心電図までつけられて恐ろしかったですが、手術自体は20分ぐらいで終了。何をやるにも体が資本です!

 

さて、インディアンジュエリーの結構深刻な問題点を今日はリアルに描いてみたいと思います。

銀の価格

 

インディアンジュエリーは、1980年代に全盛期を迎えました。今から約40年前です。

 

全盛期のインディアンジュエリーの盛り上がりは私は知りませんが、夫はその時にジュエリーを始めた一人。

作れば売れる。どんどんとオーダーが来る。そういう時代だったそうです。

銀は今の5分の1ほどで買えて、売値は今よりも安かったとはいえ、利益率がかなりよかった

ターコイズも「スタビライズ」や「プラスチック」なんてまず売る必要がなかった時代。

アメリカ産のナチュラルのいいものが安くたくさん買えた時代で、お土産として大量にインディアンジュエリーが買えた時代です。

 

銀の価格の推移。

 

2011年、銀の価格は50ドルまで上がりました。

 

ここで大量生産型のシルバージュエリー店は、かなりの数が倒産し、無くなっていきます。

(ショッピングモールに昔入っていたようなジャラジャラ系のシルバー店みたいなところです。)

もちろんインディアンジュエリーにも同じ流れがありました。

シルバーを使ったシンプルなハンドメイドのものを安く大量に作っていたシルバースミスは、どんどんと採算が取れず辞めていきます。

ここでホピ族のアーティストはかなりの数が辞めていきました。(ホピ族のジュエリーはシルバーをカットして作る作品。元のシルバーの価格が高ければ全く採算がとれなくなってしまうのです。)

 

今生き残って、作って、ジュエリーだけで生活ができ採算が取れている人というのは本当に一握り、そして値段はどうしても上げなければいけない状況があったのです。

 

深刻な高齢化

こちらのスキップメイセルというアルバカーキにある老舗のお店。オーナーが引退するために間もなく閉店します。
インディアンジュエリーの全盛期から40年たった今。

作り手

1980年代に20代、30代だった人が現在も現役でジュエリーを作っています。

平均年齢は上がる一方。若手アーティストが出てきているかと言うとそうでもなく、80年代の全盛期アーティストが残っている。

売り手

売り手も同じ。バイヤーやディーラーの高齢化は特に深刻。1980年代にビジネスを始めた人たちがそのまま残って、年々少なくなっていく。

買い手

アメリカの買い手の高齢化はかなり進んでいて、本当に年金生活をして余裕がある人のジュエリー、お金がある人の楽しみ、というイメージがついてきてしまっている。

 

材料が高いくて採算が取れない → 値段が上がる → 一部の人しか買えないものになる

という深刻な現状があります。

ターコイズジュエリーの今後
日曜日からプロパンガスが切れていて(自分たちの不注意ではなく、会社が来て入れようとしたらパーツが古いから入れられません、月曜まで待ってくださいって言われて切れてしまった。)ガス台が使えず、冷たいサンドイッチとレンジでチンでしのいでいます。...

 

作り手や売り手さんたちはこの現状から、

「このビジネスは儲からないし大変だからやめておけ、無難に都会に行って就職するのが偉い選択だ。」と思っている人がたくさんいます。

だから、若手が全く育たない。

若手を育成するような学校はないし、そういうシステムもない。完全にインディアンジュエリーの未来を放棄している感じです。

 

新しい感覚の入っていないオールドファッションなビジネスのやり方でやれるところまでやっていこうと頑張っている。

これはインディアンジュエリーだけにとどまらず、伝統工芸のとても大きな課題。

商品を買うお客様が高齢化しているから、そのままお店も高齢化しているわけです。

 

実は日本人が支えている

私の個人の感覚ではあるけれど、インディアンジュエリーの世界は3分の1、日本人が支えている。

これは結構な金額です。

場所によっては80%日本人が支えている場合もあるし、20%ぐらいのところもあります。

日本では、若い世代に浸透しつつあるインディアンジュエリー。

ファッションとして取り込まれ、伝統工芸品がトップ雑誌に掲載される。

これはインディアンジュエリー界にいる人にとって本当に誇らしく、無視できない現状です。

 

まとめ

現地でインディアンジュエリーの未来を考えると、変えていかなければいけない部分が本当にたくさんあります。

適当さ、素朴さ、無骨感を残しながらも、現代のシステムに合わせた形にもっていかなければ、本当に、毎回書くけれども、インディアンジュエリーの未来は完全に尻つぼみ。

古い、ダサい、効率的じゃない、そういうマイナスな部分だけが若手に伝えられる教育も変え、いかにこの伝統工芸が素晴らしいものかを心に訴えていかなければならないと思います。

若手のインディアンジュエリー好き、これからビジネスをしてみたい人、興味がある人、そういう人をどんどんと取り込んで、マーケットを大きく、どんどんプラスに変えていきたい。

そんな壮大な使命を持ち、夫と共に毎日夢を語り合っています(笑)

乗っかりたい人がいたらいつでも大歓迎!

 

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