トップニュースは中絶禁止デモ
米国内の各地で人工妊娠中絶を禁止する州法の成立が相次いでいることに対し、本日21日に全米50州のほぼすべてで一斉に抗議デモが実施されています。
事の流れ、まとめ
以下CNNより。
中絶「賛成派」「反対派」の両方がデモを行っています。
ネイティブアメリカンの場合
個人的な感覚としては「ネイティブアメリカンも中絶に反対する考えが一般的」です。
(考えの相違や、やむを得ない場合の議論はあります。)
キリスト教徒も多いニューメキシコ州、アリゾナ州。
ナバホ族は40%がキリスト教徒という報告があります。
(これは都会の教会調べなので、かなり多く見積もっていると思います。)
都会から離れたリザベーションだとキリスト教徒は5%という数字もありましたし、ナバホ族以外のホピ族、ズニ族などのプエブロと呼ばれるネイティブアメリカンはまだまだ独自の伝統的信仰が強いですが、親族に一人か二人は熱心なキリスト教徒がいるような個人的なイメージです。
まず「キリスト教は、初代教会から一貫して中絶を殺人と見なし非難しています。」
なので、周りにキリスト教徒が多いネイティブアメリカンの人々も自然に中絶に対してNOという考えを持っている人が多いです。
そして次の理由。「中絶はすべて自費である。」
これはインディアンホスピタルと呼ばれる病院のもの。
「ニューメキシコ州に住むナバホ族の52%が無計画な妊娠をしている。」という衝撃的な数字が出ています。
その下に、
「命の危険がある場合、レイプによる場合、近親相姦の場合を除き、中絶に関する治療を望む場合の治療は病院では負担しません。」
という注意書きがあります。
ネイティブアメリカンはインディアンホスピタルに行けば医療サービスを無料で受けることができます。
なので、中絶する費用もないし世間的にも風当たりが強いから、出産するという決断をするという人も多くいるのが事実。
元々避妊という教育が浸透していなかったので、インディアンホスピタルでは「避妊をして計画的に出産しましょう」を推進し、病院のあらゆるところに無料で持ち帰れる紙袋に入った大量の避妊具が置いてあるのですが、無計画な妊娠率は依然として高い印象があります。
これは2013年の調査、「15歳から19歳までの妊娠率」
白人 1.9%
黒人 3.9%
ヒスパニック(メキシコ人、スペイン人)4.2%
ネイティブアメリカン 3.1%
アジア人 9%
計画的な妊娠でなかったとしても基本中絶という選択肢をする人は少ないので、その後シングルマザーとなり経済的に苦労したり、家庭内暴力や児童虐待につながるケースも出てきます。
妊娠を機に、教育や仕事から離れているために収入を得られず低所得者となるというケースもかなりあります。
今年のギャラップ公立高校の卒業生のうち3人がすでに母親となっていると聞きました。
学業への影響、所得への影響を考えると簡単に「自己責任」だけでは済まされない問題なのかもしれません。
まとめ
州法でいろいろなルールが定められるアメリカ。
移民の国家で様々な宗教と信仰が入り乱れるアメリカ。
日本ではコモンセンスというような「共通している概念」部分が多い人々が多い感じがしますが、その「共通している概念」自体がないからそれぞれいろいろな意見があって難しいなといつも思います。
この問題は倫理的な部分が大きいので法で強制的に違法にする危うさがありますよね。
まだまだ長引きそうです。
アメリカ、ニューメキシコ州在住、居住歴10年。ナバホ族の夫とリザベーションで二人の子育てをしながらインディアンジュエリーにかかわる仕事をしています。インスタ、ツイッター、Facebook、Youtubeがありますがインスタが一番身近な感じかと。
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