天国の人たちへの思い

Native American

こんにちは。

タイトルからして重い内容だということが想像できるかもしれませんが、今回は教養というより少し感情的な個人的深い話です。

アメリカではもうコロナという言葉をほとんど聞かなくなりました。そんな今、改めてコロナ禍を振り返ってみると結構辛かったなぁと思ったりする人も多いんじゃないでしょうか。

人との繋がり方が変わり、生活が変わり、、、ネガティブに考えずに前を見て進む努力はしていても、たまにこんな振り返りの時もあってもいいのかななんて思います。

かなり重い内容なので精神的に辛い状況にある人は、自己判断でお願いします!

もうここには居ない人の思い出

個人的な思い出は自分の心の中にしまっておくとしても、ここにいるから知るコトができた情報は、やはり皆さんに知っておいてほしいなとも思い書き残しておくことにしました。

ダンジャクソンが居なくなってしまったことは、私にとってナバホのお父さんが居なくなったという気持ちです。毎日色々な作家と仕事をしているとはいえ、たわいもない話をして、家族のことも知り合っている人たちというのは一握り。

羊の血のソーセージを持ってきたよとか、最近どう?とか、その空間はダンジャクソンとしか話せない会話ばかりだったので、その時間が恋しいです。スティーブの氏族とダンジャクソンの氏族は、兄弟に当たるため、私のこともシスターと呼んでくれていました。

アーティストが突然いなくなると、彼らの残した作品の扱いをどうするかという問題になります。

ギャラップトレーディングにあるダンジャクソンのジュエリーは全て、彼の家族に渡りました。私がアメリカに来て12年、いなくなってしまったアーティストもたくさん見てきましたが、こんなに家族がジュエリーを見にきた人は今までで初めてです。

それほどに、ダンジャクソンの人柄、知恵や思い出を持っておきたいという家族が多いということに心底驚き、彼の作品を家族が継承するお手伝いができることを誇らしくも思いました。

裏話ですが、アーティストがいなくなってしまった後「ジュエリーを非売品にして後々高く売る」というお店が結構ある中マライカではなるべくそれをやらないように努力しているのですが、ダンジャクソンのジュエリーは実はもう材料費と円安の関係で、値上げをすることが決まっていたんですよね。いなくなってしまったから値上げしたと思われたらダンジャクソンも悲しいかもしれませんが、でも彼の事だから、笑ってもっと高くしなさいとか言われそうでもあります。

そして、スティーブの息子であるコディ。

コディについてはまだ認めるのも苦しかったりするのですが、先日マライカのインディアンジュエリー担当がTwitterに写真を投稿してくれて、思い出をシェアすることも彼のためになるのかななんて思いましたのでシェアします。

家族だからとかじゃなく、コディほど仕事ができて頭の回転がよく、人と打ち解けられる人はいないと私は今でも思っています。ギャラップトレーディング設立時からコディと一緒に働いていましたが、彼にもネイティブの多くの人が抱えるアルコールの問題がありました。2回ほど辞めたり復職したりしていたのですが、家族だから甘えさせるのも違うということで退職。ここ6年ほどはフルタイムでギャラップトレーディングにいることはなく、ガソリンスタンドで働いたり、タイヤショップで働いたり、私は男手が必要な時に手伝ってもらうという感じ。私はコディのステップマザーになりますが、スティーブと出会った時からコディはいたし、歳が近いので、母と呼ばれて笑い合うような、そんな関係。もちろん、父と息子であるスティーブとコディの絆はとてもとても深いものです。

よくマライカがロシアとかにお店を出しても、店員としてコディを派遣できるよねという冗談を言うぐらい人を何かで判断することなく誰とでも打ち解けられる天性の持ち主で、そして空気を読んで行動できるという人。天性のマネージャー気質。だからその才能をアルコールの問題で潰しているコディに心底苛立ち、どうにかして欲しいと切実に思っていたのが私の気持ちだったりしました。コディが店にいたらと思うことは多々ありましたが、呼び戻して働いてもきっと同じことを繰り返すだろうな、その気持ちとの葛藤。もちろん、コディは戦っていました。家に帰ると彼女や彼女の家族がお酒を飲むからとうちに住んでいたこともあり、その期間が一番コディらしい時期だったと彼女も言います。

「飲み続けていたら明日死ぬよ」そう言われていてもお酒を飲み続けていただろうか、その答えが家族にも分からない、それほどアルコールの問題というのは深いものだと分かっていただけるかと思います。コディはコロナも陽性でしたが、肝硬変でもあり、体調不良でもあり、私たちも直接の原因は何か分かりませんが34歳で眠るように天国へ運ばれていきました。

スティーブは神様がアルコールとの戦いから救って天国へ連れていってくれたと考えるようにしていると言います。コディという存在がないことは言い表せないほど悲しい、でも今ここにいたらコディはまだ苦しんでいるだろう、毎日その想いとの葛藤です。

あっという間なのか長かったのかすら分からない一年半が経ちますが、家族の誰にとってもその日からみんなの人生が変わったことは明らかです。

若くしてこの世を去る人が、実はとても多いです。知っているだけでアーティストの娘さんや息子さん、この2、3年で5人ほどが天国に旅立っています。

なかなか先の分からない世界情勢の中こういった現実を生きていると、本当に毎日満足して生活するために何をしようかという選択肢すら変わってきますよね。

なんだか重ーい話になりましたが、あまりプライベートを晒すタイプでもないのでSNSとかで軽く発信する話ではないけど、シェアするのは大切かなと思いここに残しておきます。

コディはめっちゃ写真が嫌いでした笑

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