ヨーロッパから伝わる文化

Indian Jewelry
Visió de l'interior de la nau.

こんにちは!

今日は家族全員で朝からインフルエンザの予防接種を受けてきました。さすがアメリカ、ナバホネーションの小さな自治体にも病院が出張で予防接種に来てくれて、しかもドライブスルー!朝九時開始で九時の時点では10台ぐらいの列ができていました。

Podcastの方も聞いていただきありがとうございます!

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アメリカ南西部、ニューメキシコ州からアメリカの生活やネイティブアメリカン、インディアンジュエリーなどについてお届けします。 インスタ @yokoinsouthwest ブログ 

適当な感じで聞いてください(笑)

アールヌーヴォーとモダニズム

昨日ジュエリーのデザインについて調べていて、すごく興味深いことにたどり着いたのでシェアしておきたいと思います。私は歴史の授業でもヨーロッパ史に全く興味が持てなかったので、そもそもの知識が低いということをご承知したうえでお読みください(笑)

 

アールヌーヴォーっていう言葉、「新しい芸術」という19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパで起こった美術運動のことを指します。

「産業革命以降、粗悪になった必要品に芸術性を取り戻す」というのがコンセプト。

華や植物などの有機的なモチーフや曲線の組み合わせになど、それまでの様式に囚われない装飾が使用されました。

絵画、建築、グラフィックアートなど様々な芸術に新しいスタイルをもたらすこのアールヌーヴォーはもちろん宝飾界にも影響を与えます。

(ちなみに、冒頭の写真はまだまだ建設中のサクラダファミリア。これもアールヌーヴォーの建築なのだそうです。)

それまではルビー、サファイヤ、特にダイヤモンドという宝石を輝かせるために取り付ける枠を作るというのが宝飾だったのですが、このアールヌーヴォー様式として、宝石に重要性を置かない新しいタイプの宝飾が出てきたのだそうです。

七宝(エナメル)や、象嵌(インレイワークですね)、ガラス、日本美術から着想を得たカゲロウや草などの自然の要素を含んだデザインなど、新しい素材や技法が一気にここで生まれます。

ここで今までは「宝飾工として宝石の台座を作る職人」というくくりだった作り手が、「芸術家」として認識されるようになりました。

 

アールヌーヴォーという言葉自体はパリの美術商、サミュエルビングという店の名前から一般化したようなのですが、このサミュエルビングさん、1870年代に日本の浮世絵や工芸品をヨーロッパに広めた人でもあります。

ゴッホが日本の芸術が好きだったのは有名ですが、彼が浮世絵を初めてみたのはこのサミュエルビングの店だったと言われています。すごいですよね!

↑美術界では当たり前のことだと思うのですが、私は初めて知って驚いたので付け足しておきました。

ちなみに、アメリカのアールヌーヴォーの第一人者はあのティファニーだそうです。

(ティファニーはターコイズ鉱山とも関わっています)

アールヌーヴォーって言葉だけ聞いたことあるけど、かなり大きな変化だったんだなと想像できます。

 

で転機は1914年、第一次世界大戦がはじまったことで、この華やかなアールヌーヴォー文化が継続できなくなります。

華やかな装飾を否定した「モダニズム」という芸術運動がおこり、装飾で飾るのではなくてシンプルで、植物などの自然を使った建築などが主流になっていきます。

日本の戦争中の「贅沢は敵だ」とか現代でいえば「ミニマリスト」みたいな感じを想像すると分かりやすいかなと思います。

 

ジュエリーでいえばこれ、アールヌーヴォー的。

 

 

これ、モダニズム的。

 

で、1970年代ぐらいにはヨーロッパでもこのモダニズムも終わってくるのですが、一方で第二次世界大戦に勝利したアメリカでは、1960年代からこのアールヌーヴォーのリバイバルが起こっていたのだそうです。

 

インディアンジュエリーとのつながり

 

ここまで調べて、脳内の何かがひらめく感じがしました(笑)

ってことはインディアンジュエリーにもめっちゃ影響してるはず!

 

アールヌーヴォーの特徴は、

モチーフは花、草、木のつた、昆虫など自然界のもの。

流動的で自然な曲線、局面を用いて装飾的に表現する。

 

もちろんアールヌーヴォーだけではなく様々な文化が入ってくる中で、60年代から70年代にかけて、ただただ銀の塊を整形して身に着けるという初期のジュエリーから様々なスタイルが生まれていきます。

 

そういえばインディアンジュエリーでは1970年代~80年代にかけて、昆虫のデザインがめっちゃ流行った時期があります。

 

 

 

 

こういうスタイルは、まさしくモダニズムの曲線文化から来ています。こういうスタイルはインディアンジュエリーでは1980年代に現代的なジュエリーとして取り上げられています。

 

今あるインディアンジュエリーも、伝統的でありながら様々な文化に影響を受け、そして様々な文化に影響を与えているんだろうなと想像が膨らみます。

アールヌーヴォー、モダニズムとのインディアンジュエリーの絡み、モダニズムはメキシコのジュエリーにもかなり影響を与えているので、芸術の世界でのデザインについて誰が先だとか、このデザインは自分のものだとかって1900年代からもう言えない時代だったんだろうなと思いました。

「芸術家」と「宝飾工」の差が出てくるところとか、今の「アーティスト」と「クラフトマン」の違いと似ていて面白いですね。

 

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