ネイティブアメリカンの起源とアナサジ

Native American

さて壮大な歴史シリーズが終わったところで、もっともっとその前のネイティブアメリカンはどこから来たかという話を今回はまとめてみようかと思います。

プエブロとトライブは違う

インディアンと日本人は似ている
ナバホ族を含めたネイティブアメリカンは大元をたどると、アジアから来ているのをご存じですか? これが、人類が移動した地図です。 (出展Wikipedia) 大陸がつながっていたような昔々、祖先は同じモ...

↑上の記事で使った人類の移動地図。

北アメリカには約15000年前に人が移動していますね。

 

まず前提として、私がこのブログで対象として記事にしているネイティブアメリカンはアメリカ南西部でインディアンジュエリーや壺を作る部族です。

ナバホ、ホピ、ズニ、サントドミンゴ、イスレタ、サンフィリペ、アコマ、アパッチ。

 

さて、この8部族を大きく二つに分けることができるのですが、分かりますか?

 

正解は、「プエブロ」と「トライブ」に分けることができます。

「トライブ」はナバホ、アパッチ。

「プエブロ」はその他、ホピ、ズニ、サントドミンゴ、イスレタ、サンフィリペ、アコマ。

 

トライブはアラスカなどを祖先とする狩猟民族。

プエブロはアナサジを祖先とする農耕民族。

 

この二つは全く別の民族。

※別の性格を持つ民族だから、相容れにくいという現状もあります。

 

ナバホ族とアパッチ族の言葉はとても似ていて、アラスカにいるネイティブとも似ているそうです。狩猟をしながら南下し移動して来て今に至ります。

 

一方プエブロの人々は、グランドキャニオンやチャコキャニオンを起源とする古代プエブロが祖先と信じています。「古代プエブロ」ではなくプエブロの祖先は「アナサジ」とひとまとめにする人もいます。

 

※アナサジとはナバホ語で古代の人という意味があるので、「プエブロの祖先」と「アナサジ」を同等の意味にすることはプエブロの人々からの反対があったそうです。

 

定住していたプエブロの人々の歴史は遺跡に残っているので研究がかなり進んでいて、考古学的にはこんな風に時代が分けられています。

BC 7000-1500 古代初期バスケットメーカー時代

BC1500-AD50 初期バスケットメーカー時代

50-500 バスケットメーカーⅢ時代

500-750 プエブロⅠ時代

750-900 プエブロⅡ時代

900-1150 プエブロⅢ時代

1150-1350 プエブロⅣ時代

1350-1600 プエブロⅤ時代

1600- プエブロⅥ時代

 

世界遺産チャコキャニオン
歴史建造物はロマンを感じて大感動するんだけれど、私は数字に弱く、記憶力がとにかくないので一回行ってもすぐこれが何の建物だったかとか忘れてしまうんですよね。 風景だけじゃなくて歴史もちゃんと記憶できる人になりたい(笑) とうわけで...

チャコキャニオンはこのプエブロⅢの時期の王国だったわけですね。

そして1200年代にチャコキャニオンでは長い間干ばつが続いたため、農耕民族であるプエブロの人々は散り散りに去っていったのではないかと研究されています。

 

このチャコキャニオンをはじめとして、ニューメキシコ州、アリゾナ州のペトログリフなどを含む多くの有名な遺跡はこの古代プエブロのものです。

 

定住型のプエブロの歴史は研究が進んでいるので、自分たちの祖先として信じるべき場所が特定されているけど、移動型のナバホ族は証拠があまりないので自分たちのルーツというものがはっきりとされていなくて、そこもプエブロの人々がナバホ族を叩く理由にもなっています。

 

ナバホ族は後から入ってきた自分たちの文化のない人々だ!みたいなことですね。なのでプエブロの人々にとって「スペイン人とナバホ族、アパッチ族」は両方とも侵略者なので同じネイティブアメリカンという括りではくくってほしくない人もたくさんいるわけです。

ネイティブアメリカンと研究者の話は違う

 

実はここら辺の歴史を確実に描写するのは結構難しい。

なぜなら、

白人さんが研究して見えてきた「実際の歴史」が本やウィキペディアに載っていて、

口頭で「伝えられている神話」が実際にネイティブアメリカンが信じる話

でそこに相違があるからです。

 

アメリカに来たばかりの頃ネイティブ関係の本を読み漁っていて、そこで仕入れた知識を披露する場面では「こうでしょー?」ってネイティブアメリカンの人々にも聞いていたのですが、彼らはまず白人さんが書籍に書いている知識というものを信じる私を否定します。

歴史は自分たちが神話や言い伝えで伝えてきたのものであって、研究者に学ぶものではないからです。

さらに、地域で言い伝えられている歴史に相違があるので、夫に聞く話と違う地域に住むナバホの人に聞く話が違うことも多々あります。

 

そしてそして、「祖先」や「成り立ち」は宗教や信仰に深く関わってくるので、ナバホ族でもキリスト教の人は聖書ベースで、ズニ族の伝統信仰の人は家族の言い伝えで、と信じているおおもとが全く違ってきます。

 

年代が比較的新しい歴史というものは事実として書けるけれど、ネイティブアメリカンの祖先という話になるとネイティブアメリカンの人々それぞれが違う解釈を持っているので、事実としては書きにくいのです。

まとめ

アナサジはナバホ族の祖先じゃないの?と夫に聞いたことがあります。

学術的なことは分からないけど昔アナサジが住んでいた土地に住んでいて、子供の頃はよくアナサジの遺跡やペトログリフ、壺の破片を羊飼いをしながら見つけた。

だから血のつながりとかじゃなくて、自分たちが今住む土地に昔住んでいた祖先と思っている。

と言っていました。

また別の人は、

どこから来たとかは知らないけど、自然も人間も神様が作ったからみんな繋がっている。

と言っていました。

 

長々と事実としての歴史を書けるのはやはり記録が残っている時代からで、その前の時代のことというのは研究されていたとしても現地の人たちの信じる話と研究で事実として出てくる話には相違があるという話でした。

 

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