ネイティブアメリカンにとっての、水。

Native American

今朝、水が出ない!「やばい凍った!」と思ったら、ただ「タンクの水がなくなっていた」というので一安心したYokoです。

この安心はきっとリザベーションあるあるだと思います。(笑)

 

さて、ネイティブアメリカンのアートやジュエリーに触れると、

「水は命」「水乞いのために祈りをささげる儀式」

など、「水」というキーワードが必ず出てきます。

でも実際、先進国アメリカで、「水」がないという事実って、想像できないですよね!?

「乾燥地帯」って言っても、水のたくさんある日本に住んでいるといまいちピンとこないですよね!?

今回はそこら辺の現状について書いてみました。

水道のない我が家

ナバホリザベーションにある我が家には、水道管は通っていません。

でもお水はあります。

車で20分のギャラップの町まで、お水を“どでかいタンク”で買いにいきます。

200ガロン=約750リットルの巨大タンク。

タンクのサイズはかなり大きいものですが、色々なサイズが普通にホームセンターの外に売っています。

買ってきた水を、家に設置されている別のタンクにモーターで移し替えます。

これを週に2.3回必ず行います。

だから家で洗濯をするときは、夫に一言「洗濯していい?」と聞き、夫がタンクの中の水量を確認して、十分にあれば無事に洗濯が開始できます。

(夫が今のところ水の管理をしてくれているので助かりますが、夫が出張とかなると甥っ子や親族に私の水を託してくれないと、水がない生活になってしまいます。)

どうして水道管を通さないの?

場所にもよりますが、申請をして、一年ぐらい待って、ある程度の予算があればナバホの政府が水道を通してくれます。

それでも私たちが水道を通さず、面倒な“どでかいタンク”での水移動を続けているのには理由があります。

 

以前住んでいた夫の母の家には、水道が通っていました。

蛇口をひねれば水が出て、水の残量なんて特に気にしない生活、最高でした!

でも、その水はリザベーションの地下水。その超硬水をそのまま使っていたので、シャワーを浴びた後は速攻でボディクリームを塗り、家族全員の乾燥肌が超悪化

水道の周りやトイレにはカルキが固まる。

そして何よりも、その地下水の放射線レベルが高いという「うわさ」がありました。

ウラン鉱山の問題

我が家から車で10分、ちょうどギャラップの町との間に、「チャーチロック」というナバホリザベーションがあります。

そこは1970年代にウラン鉱山があり、多くのナバホ族の人々が、何も知らずにたいした防護服もなく鉱山で働いていたという歴史があります。

1976年そのウラン鉱山で事故があり、大量の放射線を含むウランの廃棄が流れ出ました。その量、1000トン以上。

「Church Rock uranium mill spill」

と呼ばれるこの事故は意外にあまり知られていないのですが、今でもその影響で癌になってしまった人の訴訟などが続いています。

そのウラン鉱山はそのすぐあとに埋め立てられてもうありませんが、夫が言うには、「ただ埋め立てた」「土をかぶせてなかったことにした」だけ。

 

その元ウラン鉱山からほど近い我が家。30年前に川に流れ込んだ放射線物質が今どうなっているかとかはよく分かりませんが、同じ水路をたどったであろう地下水を子供たちの体を洗うのに使おうとはちょっと思えません。

それでも地下水を使っている人もいる

これが、地下水をくみ上げてできている我が家からほど近い池。放牧されている牛や馬はここの水で生きています。

 

福島の原発事故があった際、多くの人が放射線量を図る機械を買っていたので、私も購入して我が家の外気の放射線量を測ってみたのですが、安全と言われるレベルギリギリでした。(我が家以外の所で高レベルが出たってことになったら怖いのでそれ以来使ってません。)

地下水とはいえ、きっと何年に一回かはナバホ政府の調査が入っているとは信じたいのですが、(ここは結構怪しいところですね。)場所的に水道を通すことが出来なかったり、頻繁に町に行って水を買うことができないお年寄り、家畜への水などはまだまだ地下水を多用しています。

何よりも、近所の地下水は「無料」ですからね。

 

不毛の土地

ニューメキシコ州、アリゾナ州は「乾燥地帯」です。

アメリカの中の砂漠地帯、想像できないですよね。

年間降水量で比べてみます。

東京 60インチ
ニューメキシコ州 13.85インチ
アフガニスタン 12インチ

 

想像だけで完全なる砂漠地帯のアフガニスタンの年間降水量にかなり近い!!

とにかく雨が降らないんです。

だから、雨は貴重、水は貴重、雪は解けると水になるので、雪も恵み、となります。

 

我が家では、夏の間毎年トウモロコシを育てることに挑戦しています。(挑戦!だけで、まだ大成功には至っていません!)

よく「こんなに土地が余っているんだから農業にでも使えばいいのに」という声を聴きます。

でも自分で育ててみると、いかに水が必要か、いかに食物を育てるのが大変な土地なのかが分かります。

ホピ族の土地では、「ドライファーミング」と呼ばれる、一切水を使わない農業というのが行われています。それでも、インディアンコーンは育ちます。

唯一育つトウモロコシ。

トウモロコシが命であること、水が命に直結するものであること、この現状を知ると少し身近に感じられるのではないかと思います。

 

ちなみに、いかに水をあまり使わないで気持ちよく生活するか。っていうのにも水タンク生活をしていると詳しくなってきます。(笑)

でもやはり水タンク生活はとても不便なので、水道管を通して、ちゃんとしたフィルターかって浄化して使うことも長年私たちの頭にはあります。いつ現実になるかなぁ。

 

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