夫がミーティングで疲労困憊、9時過ぎに帰宅した昨日。
うちの夫は2000人のコミュニティのプレジデント(代表)をしています。
ナバホネーションという独立国家である
ナバホ族の人々は、「侵略者と戦争をして、最後まで降伏しなかった唯一の部族である」ということを本当に心から誇りに思っています。
降伏をして乗っ取られたのではなく、アメリカと条約を結んで自分たちをアメリカの中の国家として認めてもらったという解釈。
なので、ナバホ族全体を表す時はナバホネーション(ナバホ国家)という言い方をします。
ナバホネーションは、独立した国家なので、その中での法律もあれば警察もあります。
以前の記事でも書きましたが、ナバホ族のリザベーションの面積は27000平方マイル。 関東地方と東海地方を全部合わせても足りないぐらいの面積があります。
自治体のミーティング
ナバホネーションは110のチャプターと呼ばれる自治体から形成されていて、そのチャプターを取りまとめる協議会長が24人いて、その上に議会があります。
夫はその一番の自治体レベルのチャプタープレジデント。
約2000人住むコミュニティのプレジデントは自治会長みたいなもので、月に2回ミーティングで色々コミュニティの問題の解決策を練るわけだけれども、それがまた面白いのです。
平日の四時とかから始まるミーティング。(最低でも15人いないと話し合いは延期される。)
住民からの要望はこんな感じ。
「雪でどろどろだからの道路を治してください」
「今年は極寒だからチャプターで薪を買ってくれませんか」
「低所得者なんですけど家の屋根の雨漏りを治す援助をしてもらえませんか」
「奨学金をもらえませんか」
それらに賛成🙋♀️ 反対🙋♂️で多数決して、ナバホネーションからチャプターに与えられた予算を分配したり、もっと大きな予算が必要だったら直接交渉しに行ったりします。
というのも先日の朝方、銃でチャプターの倉庫の窓ガラスが割られ、その中に入っていたトラクターに穴傷がつくと言う事件があったから。
それの防止策、というよりそもそもそういった人がいるこの治安の悪さを改善するためにあなたは何をしているのかと怒号を浴びたとのこと。
ナバホの国家とアメリカ国家の問題
銃社会であるアメリカ。いろいろ危険な事はあるけれどまず絶対的に警察の数が足りていません。
ニワトリが先か、卵が先か。
犯罪が先か、警察が先か。
それはどこの国でも同じだと思うのですが、独立の国家とされるナバホネーションの場合、アメリカ国家との絡みが結構問題になっています。
通常リザベーション内で911の番号で駆けつけるのは、ナバホネーションの警察。Navajo Policeです。
近年、ナバホネーションの夜勤警察として常駐する人数、4人。
4人!!!
再度言いますが、ナバホ族のリザベーションの面積は27000平方マイル。 関東地方と東海地方を全部合わせても足りないぐらいの面積があります。
カウンティと呼ばれる州の中の「郡」レベルにあたる警察は、シェリフ(保安官)と呼ばれていて、ナバホポリスはそのシェリフとコンタクトを取り合ってパトロールしたり、現場に駆け付けたりします。
リザベーション、郡、州という三つのくくりがあるので、
警察は「ナバホポリス」と「シェリフ」、「ステイトポリス」という三つの団体があります。
さて、その全体の警察を合わせて関東地方と東海地方を全部合わせても足りないぐらいの面積をカバーする夜勤の人数は何人だったのでしょうか。
正解は、8人!!!
いやいや、何か2つぐらい事件あったら終わりでしょ。。。
それでも頑張る夫は住民のために涙
住民から怒号を浴びせられ、そこから警察や議長と延々と電話でミーティングをする夫。
実際に犯罪が起きてからでは遅い、でもこの人数では犯罪の時に駆け付けるのが精いっぱい。
でも、その現状すら自治会のプレジデントである夫も初めて知ったそうです。
助けている住民の手を振り払っているような気がして悲しくてしょうがないと涙する夫を見て、あーこの人って本当に人のために頑張れるタイプなんだなぁと思ったのですが、こういう問題は万国共通で、簡単に変えられるものではありません。
たまには政治の世界にいる人を悪い目ではなく、いい目でみてあげることも必要だなと思います。
まとめ
独立の国家としてあげたんだから、「あなたたちは勝手にやりなさい。」って意見。
それを「自分たちでできるから他の助けはいらない」と解釈する人もいます。
アメリカの中にあるんだから、「お互いに助け合いましょう」って意見。
本当にネイティブアメリカンの世界というのは奥が深く、よそ者が色々と口をはさんで簡単に変わるものではありません。
でも、ほとんどの治安や犯罪の問題は、ドラッグやアルコール依存の問題というのも事実。
その問題を少しずつ解決することはネイティブアメリカン世界を明るくすることでもあるな、と思います。
アメリカ、ニューメキシコ州在住、居住歴10年。ナバホ族の夫とリザベーションで二人の子育てをしながらインディアンジュエリーにかかわる仕事をしています。インスタ、ツイッター、Facebook、Youtubeがありますがインスタが一番身近な感じかと。
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