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さて今日は、「トレーダー(仲介)ばかりが儲けている!」という不満みたいなものを耳にしたのでそれをネタにしてみたいと思います。
トレーダーという仲介の意味とは
「ネイティブアメリカンが作った商品」と「生活必需品」を交換する場所として作られた、「トレーディングポスト」
〇商品と生活必需品をそのまま交換する物々交換は、今でも行われることがあります。
生活必需品と言っても食べ物や消耗品はスーパーで普通に買えますから、儀式に使うブランケットと交換したり、卒業式のために使うジュエリーに交換したりします。
トレーディングポストでは普通にそういうことができますし、儀式や贈り物に使うために自分が作った商品とブランケットを交換することは普通に私の店でもよくします。
〇さらに他の多くのトレーディングポストでは、質屋の役割があります。
写真にもある「PAWN」というのは質という意味。
誰でも、ジュエリーを質に出して現金を得ることができます。
質に出すというのはあくまでもジュエリーを担保にして現金をもらうということなので、ジュエリーを預かってもらうために利子が発生し、その利子と残りの残金を支払うことが出来なければ、そのジュエリーはいくらで買い取ったかに関係なく質流れとなり、お店のものとなります。
お金が足りないときは、みなさん普通に何かを質に入れます。
ジュエリーやラグ、ブランケット、馬具からチェーンソーやら工具やら、色々なものを質に入れることができ、質に入れることができるものは高価なものだけではないのです。(ちなみに私の夫も、最近までは普通に質にジュエリーを入れていました。)
職を持たないネイティブアメリカンの人々にとっては、トレーディングポストや質屋は現金を手にすることができる数少ないスポットなわけです。
利用している人がいるというのは、必要としている人がいるということ。
ネイティブアメリカンから安く質に入った質流れのジュエリーで儲けていて「白人トレーダーはけしからん!」というようなことを言う人がいますが、ネイティブアメリカンにとっても必要な場所であるから存在し続けていて、もちろん白人トレーダーの彼らにとってもビジネスとして成り立たせる必要があります。
トレーダーという立場の意味とは
私のいる店では質屋はやっていません。
質屋をやっている人々と近い存在になってくると、儲かっているであろう反面本当に苦労が多く、その日暮らしのネイティブアメリカンを毎日見ていて、「トレーダーからの彼らへの見方が変わってきてしまう」のが身に染みてわかります。
なので、私は商品を買って、お客様に販売するのみ。
作り手から買ったものを、それぞれの価格を付けて販売する。
そのためには、「売れるものを買う」「売れるものを作ってもらう」「売れるように価値をつける」「売れるように背景を説明する」必要があります。
クオリティをコントロールして、お客さんの声を作り手にフィードバックして、より良いものを作る。
お客さんと作り手が繋がって連絡を取り合える時代になっても仲介が存在しつづける意味は「お金や時間では測れない作り手と仲介の信頼関係」にあると思います。
利益うんぬんよりも、その「信頼関係の上に出来上がっていた商品を作っていること」に意味があって、その商品が売れたら「お互いの利益になるからお互いに頑張る」。そうやってお互いを高めていくことができる仲介ができる人がいいバイヤーであり、いいトレーダーなのだと思います。
(↓ちなみにこの記事には悪気は一切なく、結局こうなっちゃうことが多いよって現状を知ってほしいって感じです。)
まとめ
ネイティブアメリカンと生活していると、お金に囚われて毎日を消耗するような生活を送ってしまうことが多い人間の生活をなんとなく見直すことができます。
お金が無かったらあるものを売ってお金にすればいいし、困ったときに人に頼って何が悪いの?っていう感じ。日本も少しこういう考えが変わりつつあると思いますが、ネイティブアメリカンと生きていると凝り固まった脳みそが揺さぶられるできごとが多々起こります。
アメリカ、ニューメキシコ州在住、居住歴10年。ナバホ族の夫とリザベーションで二人の子育てをしながらインディアンジュエリーにかかわる仕事をしています。インスタ、ツイッター、Facebook、Youtubeがありますがインスタが一番身近な感じかと。
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