リザベーション(居留地)って何⁉︎

Native American

私、夫と一緒にリザベーションに住んでるんです。というと、え!?(っていうかリザベーションって何?)っていう人が多いので、簡単に説明してみます。

リザベーションの定義

毎度おなじみのウィキペディア先生によれば、

インディアン居留地(インディアンきょりゅうち、保留地Indian reservation)とは、アメリカ合衆国BIAインディアン管理局)の管理下にある、インディアンアメリカ州の先住民族)部族の領有する土地リザベーションという呼び名が一般的だが、有力な民族のものは自治権が強く1つの国家にも等しい力を持つとされ、ネイション(国家)とも呼ばれる。」

まず最初に、ナバホ族の人口は、約35万人。人口は川越市や高松市に匹敵するぐらい。でもナバホ族のリザベーションの面積は27000平方マイル。 関東地方と東海地方を全部合わせても足りないぐらいの面積があります。

歴史的には、ロングウォーク(これはウィキペディア先生にお聞きくださいね。)の終わり、1868年(日本では明治が始まる年)にナバホ族はアメリカ政府とTreaty という「条約」を結び、ナバホ族のリザベーションという居留地を与えられると同時にナバホネイションという独自の国家として認められています

面積が広いナバホネーションの場合、ここからがインディアンリザベーションという明確なフェンスとか表示があるわけでもないので普通にリザベーションに入ることはできます。(地区によっては勝手に入ることができない所もあります。)

見た目としては、都市部から離れて急に何にもなく、古そうな家がポツンぽつんと建っているようになったらそこはだいたいリザベーションです。

そして、それぞれの部族が与えられたリザベーションに住んでいないネイティブ・アメリカンもたっくさんいます。

モニュメントバレーの旗。

(ニューメキシコ州旗、アメリカ国旗、ナバホネイション旗)

リザベーションのメリットとデメリット

リザベーションの中では、家族がもともと住んでいた地域であれば申請をして手続きをすると1エーカー(1220坪)の土地が無料でもらえます。その地域のコミュニティに所属して、所得によっては家を政府が無料で建ててくれることもあれば、賃貸住居に超低価格で入ることができ、子供達の奨学金援助もあれば、州の税金が免除されるという特典まであります。リザベーション内やその近くにはインディアンホスピタルがあり、保険がなくても無料で医療サービスを受けることができます。(待ち時間は半端じゃないですが。。。)

所得が少なければフードスタンプと言って食料品を購入することができるカードを支給してもらうことができ、乳幼児用の物資が買えるプログラムがあり、歳をとれば国から年金がもらえ、そういった低所得者の人は年末の確定申告で大量の金額が戻ってくる。低所得者用のサービスが本当に充実しています。

この低所得者というのは、だいたいの目安として4人家族で月に2700ドル以下の収入の家庭。子供が多ければ多いほど、家族が多ければ多いほどこのハードルが下がります。

お金を稼がなくても、仕事をしなくても生きていける仕組みが整っている。それがアメリカ政府との条約により決められたインディアンリザベーション。

そのデメリットは反対にこんなに広い土地でも産業が非常に少なく、ハイクオリティの仕事がないという事。

都会に出て行くネイティブアメリカンの人の数も多いけれど、都会に行けばこういったリザベーションのメリットが制限されてくるし、都市部で平均的な仕事をすれば何よりも低所得者に該当することがなくなるから、ネイティブアメリカンの人々にとっては結構な大きい選択になります。

数字に顕著に表れる現実

これを踏まえて、

アメリカの平均年収 52000ドル

ニューメキシコ州全体の平均年収 43000ドル

ナバホネイション平均年収 22000ドル

(ちなみに日本は37000ドルだそうです。物価も違うけど結構低いよね。)

結果は一目瞭然です。

土地の売買禁止

リザベーション内で無料で自分の土地を持つことができる!素晴らしい!と思うけれど、そこに家を建て、素敵な場所にしても土地を売ることはできません。自分がいなくなった後その家を家族が継続してくれなければ、その土地はナバホネイションに返還され、大体の場合が放置されて廃墟となります。

だからリザベーション内にはとても廃墟が多い

産業を流入する事に関するジレンマ

以前、大手自動車企業がナバホ族のリザベーションの土地を多額で買って工場を建てたいというの話があったそうです。素晴らしい!雇用が増えて経済が活性化する!って思うけれど、伝統的なスタイルを守っている年配の人が多いナバホ族のエリアも入っていて(政治的なお金の問題も大きかったみたいです)結局その話はまとまりませんでした。

土地が広いですが水がなく不毛な土地なので産業へのインフラ投資額も尋常じゃないし、ただ単に、じゃあ産業を入れればいいじゃん!って言う簡単な話ではないんですよね。

最も、しなくても生きていけるんだから産業があっても仕事をしたいかどうか、って言う所。

電気ガスがないって本当⁉︎

これは、本当でもウソでもあります。

私たちが住んでいるところは、wifiがあり衛星テレビも見れてガスも水道も(クオリティの問題はありますが)ちゃんと電気もありますし、料金は通常通り支払います。

しかし私たちの家から5分ぐらい歩いたおじいさんの家は、電気もガスも水道もありません。

家の床下で天然冷蔵庫を作り、寒かったら石炭ストーブで、その上で料理もしていました。電池式のラジオでナバホ語のラジオを聴き、暗くなったら寝て明るくなったら起きる。昔ながらの生活をしていました。都会に住んでいるおじいさんの家族は時々様子を見に来て、都会で食料を買い出していました。

今の時代、地域の自治体やナバホネイションに要請すれば最低限のインフラはすぐに整えてくれます。それを必要としなくても行きていける人々がまだいるという、それだけのことです。それが「途上」と言えばそうだし、「未開拓」と言えばそれもそうです。

レズ○○

道路が舗装されていない所が多いリザベーション。雨や雪が降ると道がぬかるみになり、車をいくら洗車してもすぐに泥だらけ。そんな車を見たら、「レズカー」って言って笑われます。Rez(レズ)はリザベーション)の事。

子供たちが外で遊んで鼻を垂らして砂だらけで帰ってくると、レズキッズと笑い、穴の空いたTシャツを着ていたならレズボーイと呼ばれたりします。

日本でいう、イモっぽい(古すぎ⁉︎)みたいな事ですね。

まとめ

ネイティブアメリカンはみんながみんなリザベーションに住んでいる訳ではなく、強制的に押し込められているわけでもありません。

でも、アメリカ政府との条約によりここに住んでいたらこんなメリットがあるよ、だから住んだほうがいいんじゃない⁉︎という明白な事実があり、暗に「押し込められている」という解釈があるんだと思います。

でももう今の時代、どこにいても活躍できるし都会に行って仕事を持ち家を持つことだけが成功じゃない、だからもっとネイティブアメリカンが世界的に活躍する時代になってきてほしいなぁと心の底から思っています。

 

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コメント

  1. ken kanazawa より:

    流石!中々面白い記事です。
    外側から見るのと、内側から見るとでは大違いですね。

    • Yoko より:

      コメントありがとうございます!そうなんですよ、体験してみるとびっくりの事実がたくさんあります。