ナジャの意味

Indian Jewelry

こんにちは。

怒涛の2020年もあと9日。このひっちゃかめっちゃかなクリスマス前で、荷物が三件紛失しました。宅配業者の責任ではあるけれど、すべてオンラインにのしかかると紛失や盗難の確率も上がるし、宅配業者さんは本当に忙しそう。お客さんに怒鳴られても、ここはグッと我慢して返金を(笑)

ここ最近、みんなかなりストレスがたまってる感じがひしひしと伝わってきます。いつもは店頭であれやこれや言いながら選ぶクリスマスプレゼント。今年は慣れないネットで注文し、その挙句宅配が遅れたり紛失したりした時の怒りのぶつけようがないんだと思います。

コロナの渦中で色々とうまく進まない状況である事を理解していただけないという、4月から延々と続くこの戦い。私もそうだけど、相手の状況を思いやる余裕がない人が増えている、そんな感じ。

さて今日は昔の自分の勉強記事を読んでいて、忘れかけていたことがあったのでそれをまとめてみます。

ナジャの歴史

「ナジャ」というこの形。ご存じの方が多いとは思いますが、インディアンジュエリーの中でも有名で人気のモチーフ。

 

ナジャ(Naja)はナバホ語で三日月という意味

 

三日月型をしたこのモチーフは主にナバホ族のジュエリーによく使われますが、ズニ族他プエブロの人たちで使う人もいます。

これ、実は旧石器時代とかにさかのぼるらしいんです。その由来については諸説あります。

 

まずは説その1、「ハムサから来た」。

 

 

この、「ハムサ」というモチーフを知っていますか?

 

こっちのほうが分かりやすいかな。

このハムサは、中東で人気のあるお土産としても知られてますね。邪悪なものから身を守るお守り的な感じで使われていますが、そもそもは「ファティマの手」という別名があり、「聖母の手」を意味しています。

それをムーア人が使っていたそうなのですが、歴史で聞いたような聞かなかったような「ムーア人」

もともとアフリカからスペインに渡ってきたイスラム教徒の人たちの総称で、英語ではMoorishと言います。

「スペイン!」

そう、そこからスペイン人がアメリカに持ち込んだんですねーーー。

元々ムーア人やスペイン人が使っていたシンボルは、ハムサから派生してナジャの三日月型に近い形になり、馬のブライダル(頭に着ける馬具、頭絡というらしい)やパンツのデコレーションなどに使われていたそうです。

 

それをスペイン人からナバホ族がいただいて、「ナジャ」という名前になって今に至るという話。

 

次は説その2、「イスラム教の三日月から来た」。

 

三日月はイスラム教では「力と自負のシンボル」だそうで、今もイスラム圏の国の旗に三日月が使われているところがあります。

その三日月の由来はメソポタミア神話とかに出てくる豊穣と多産の女神、アスタルト。古代中東で最も広く崇拝された大母神。大地の生産力の象徴で,愛と戦いの女神,金星がその支配星。

エジプト、ローマなど様々な場所で信仰されていたこの女神アスタルトは世界の真の統治者であり、古い世界を破壊しては新しい世界を創造する死と再生の女神でもあったそうです。

(アスタルトが頭に三日月をつけた女神であることを知り、セーラームーンを思い出しました!)

ナジャの意味は今では子宮を意味していて、豊穣やお守りを意味するということが前面に出たりします。多分それはここから来ている説だと思われます。

ナバホ族のインレイに金星が描かれることもよくあります。肉眼で見える惑星だからというのが一番大きな理由だと思いますが、もしかしたらこれも関係あるのかな。。。

 

どちらにしろ、女の人のシンボルであることには変わりなさそうですね。世界にあるシンボルって魔除けとか邪悪なものから身を守るのと豊穣という目的から作られたものが多いと思うのですが、ネイティブアメリカンの多くのシンボルにも魔除けやお守り、豊穣という意味があります。

 

ナバホ族がナジャを使い始めたのは、馬のブライダルからだと言われています。

銀貨を溶かして作っていた時代なので、当初のナジャはトゥファキャストまたはサンドキャストで作られていました。今も、シルバーメインのナジャはこの2つの手法で作られているものがほとんど。

 

 

それがスクオッシュブロッサムの中心には欠かせないものとなり、1920年代の古いナバホ族の写真などにも、ナジャをつけた人たちが映っている写真を見かけます。

 

(ここ以下はマライカから写真を拝借しています。)

 

1940年代、インディアンジュエリーの初期の時代はこんなスクオッシュブロッサムの形でした。

スクオッシュブロッサムはかぼちゃの花という意味ですが、このサイドのかぼちゃの花っぽいデザインから来ています。今ではこのネックレスそのものをスクオッシュブロッサムという名前で呼びます。

 

ナバホ族だけではなく、ズニ族もスクオッシュブロッサムを作ります。

 

後ろがフック型になっているナジャが多いのは、スクオッシュブロッサムネックレスのビーズの中心にひっかけられるようになっているからです。

私も、ナバホパールのネックレスにナジャをひっかけて着けます。

 

今ナジャデザインは本当に色々なデザインがありますが、その名前やキャッチーな見た目だけではなく、結構古い歴史のあるものなんだと知ると愛着がわきますね。ただの三日月型だけど、ここまで色々な作品に派生していくなんてすごいですよね。

私も牛の鼻輪と言って馬鹿にされた時にこれを知っていれば(笑)。

実はアメリカに初めて出張に連れてきてもらった時、一番最初に自分で買ったのがナジャでした。

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