コロナショックとネイティブアメリカン

Indian Jewelry

州の外出禁止令から4日経ちますが、勢いはまだとどまらず実生活にはかなりの影響が出てきています。その影響をまとめてみます。

失業者300万人以上

リモートワーク、テレワークに切り替えられる仕事には限界があるというのがよく目に見えるこの数字。

最初WHOのパンデミック宣言を受け、株が暴落した日にトランプ大統領がゼロ金利政策や中小企業支援約5兆円などを打ち出したわけですが、州からの命令で閉じなければいけない店の数は半端じゃない。

ニューメキシコ州で現在営業していい店や会社は以下

スーパーと薬局、保険会社、病院に供給している物資を作る会社、老人ホームや在宅ケア、チャイルドケアの従事者、レストランは持ち帰りのみの営業はOK

その他の店、会社はすべて営業してはいけない。営業していた場合は罰金または営業許可のはく奪もあるという厳しいルールが出て、その命令が出た翌日から、どの店も予告なしに閉めることを余儀なくされています。

ライフライン

ライフラインとして電気、ガスは通っているところは多いのですが、水は通っていない場所も多い。

収入が途絶えている人も多いので、ライフラインである電気、ガスは「支払いが滞っていても今、止めてはいけない」という命令が州から出ています。

 

現在ナバホリザベーションでの感染者は63人に増え、それがほとんどが前回も書いたKayenta近く。

深いリザベーションに住む人たちは、水を汲みに大きなタンクのある場所に車で行って、その水をトラックのタンクに入れ替えて生活用水にしているのですが、どうやらその生活用水を汲む水の供給場所が怪しいのではないかと今言われています。

その水の供給場所を使う人というのは何千人もいるかもしれず、そこじゃないとすれば、また車で1時間や2時間かけて別の場所へ行かなければいけません。

これはかなり死活問題。

(Kayentaの感染者が集中しているエリアへ行く道は現在ナバホ警察が検問をはっていて、用がない人はその先に行けないようになっています)

さらにナバホネーションの下にある自治体は「チャプターハウス」という110個の自治体に分かれているのですが、そのチャプターハウスが今全部閉鎖中。

助けをもとめる自治体が閉鎖中だから、もうどうしようもないらしい。

そのチャプターハウスの長であるダンナ。昨日は小麦粉100袋と、豆50袋のナバホ政府からの配給をもらいにトラックで二時間かけてナバホ農業組合へ行っていました。

食べ物と水が確保できればとりあえずは何とかなるのかもしれません。

教育

今週からついに小学校でもリモート教育が始まりました。

ネット環境がない人は、USBメモリとパソコンまたは i pad が配給され、Emailまたはアプリ上でのコミュニケーションをとりながら、先生が指定したノルマを子供たちにやらせていきます。

Long Distance Learning 長距離教育?というそうです。

月曜に代表一人が学校へ行き、ノートや教科書など必要なものを全部持ち帰ってきました。

先生からメールで事細かに指示を書いたシートが送られてきました。

まずこのアプリをダウンロードして生徒の進捗をここでコミュニケーションしましょう。

算数はこのYoutubeビデオを見てから、○○ページの問題をやってください。

国語はこのリンクからこの本を何ページまで読んでください。その後、物語についてこの質問をしてください。

音楽はこのビデオを見て、自分で好きな音楽を作ってみてください。

体育はこのビデオのエクササイズをやってください。

 

といった調子です。

ネットネイティブの子供たちには何の苦でもない。というか、実際大変なのは親の方だと思う!

でも、ネットリテラシーを高めるとてもいい経験になっていると思います。

ジュエリー関係の人

本題はここですね。ジュエリー関係者の状況。

外出禁止令は時間の問題とは先週から分かってはいましたが、店はどこもまだ様子を見て営業中のところばかりでした。

それが日曜に突然の店を閉めなさい命令が出たもんだから、ジュエリー関係の店はすべて次の日から急遽休みになりました。

材料を売る店も同じ。予告なしに閉められてしまったので、買う作家の側も全く準備ができていませんでした。

ギャラップにはサンダーバードという大きな材料屋もあり、うちも小さな材料屋をやっているのですが、サンダーバードも完全休業に入り、うちも完全休業に入らざるを得ず、作り手は、材料を買うところも今はありません。

ジュエリーも、ジュエリーの材料も、必要不可欠なビジネスではないというのが悲しい。

実はアルバカーキに一店ネット販売メインの店があるのですが、そこに需要が集中しているため、そこの人から連絡が来て、どうにかして電話通販だけできるように対応してくれないかと相談を受けました。

電話販売でも結局誰かが取りに来なければならず、アリゾナで拡大しているコロナのリスクを誰が背負わなければならないかというと少しの時間でもお客さんと対面しなければいけない従業員。

従業員はやはりそのリスクは今背負いたくないとのことで、うちはやはり休業継続を決心しました。

結局みんな家で仕事するんだから、作り手の状況は同じでしょ!!

と思っていましたが、材料も買えず、商品を売る店もやっていないので、結局みんな苦しい。

店を運営する側としては苦しい判断ですが、一人の買い付けをOKにしてしまえばみんなOKにせざるを得ず、一人に材料を売ればみんなに売らざるを得ず、だから特別待遇もできずに休業するしかない。

政府の対応

アメリカ政府同様、ニューメキシコ州政府からも様々な救いの手が差し伸べられています。

そのほとんどが無利子のローンですが、今この状況を打破するには今はこの方法しかありません。

ウェブサイトでの購入や、作家から直接購入をすることは、今まさに苦しんでいるアメリカジュエリー業界の唯一の救いの手。

 

ネイティブアメリカンジュエリー界って、やっぱり一点物で高額だからネット販売のハードルが少し高くて、アメリカはまだまだ遅れている世界。

 

この間に私自身ネットリテラシーを高めて、コロナ騒動が落ち着いた時には新たにステップアップできるように着々と準備を進めようと思います。

 

 

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