ネイティブアメリカン、といえばよく聞く「シャーマン」とか「儀式」とかのイメージがあると思います。その言葉からして、やっぱり見てみないとわからない未知の世界で、ちょっと怖い感じもします。
それぞれの部族の中で行われる儀式はその神聖度や関係性にもよりますが、通常「よそ者」は参加することができず、「招待」か「一般公開」の場合しか参加することはできません。
ナバホ族にはカチナは存在しない
インディアンの世界を知り始めると、ジュエリーにも、アートにも「カチナ」というものが出てきます。英語ではKachinaと書き、私はカチナと呼んでいますが、カチーナと呼ぶ人もいます。この「カチナ」はホピ族、ズニ族を主とするプエブロ族の文化です。
インディアンの部族を「トライブ」といいます。ニューメキシコ州には23のトライブのインディアンが存在します。最大の人口のネイティブの部族であるナバホ族と、3つの部族に分かれるアパッチ族がトライブ。トライブはもともと狩りなどを行って移動を続けていた民族、そして19の「プエブロ」と呼ばれる、もともと農耕民族だった部族。ジュエリーで有名なナバホ族はトライブで、ホピ族、ズニ族、サントドミンゴ族はプエブロに属します。
ナバホ族にはカチナのようないろいろな種類の「可視化した精霊」というのは存在しません。
ナバホ族の中でも、キリスト教信仰の人が結構多い。
私のナバホ族の夫も熱心なキリスト教。具体的な数字は分からないけれど、大きな街に近いほどキリスト教率は高く、リザベーションに深く入っていくほどナバホ独自の信仰が強いと思います。
キリスト教(クリスチャン)、ナバホ独自の信仰(ネイティブアメリカンチャーチ)、どちらも信じる人、どちらも特に信じない人、という感じ。
もともと家がクリスチャンの人たちは、ナバホ独自の信仰に触れたことがあまりなく、儀式などには参加しないという人たちもたくさんいます。
私は儀式があると誘われてとか、近所でやっているからとかで見に行ったことが何回かありますが、夫の家族はほとんどがクリスチャンなので、儀式の主催側になったことはありません。
ナバホ族の儀式とは
ホピ族やズニ族の儀式は、主に雨を降らせる祈りや豊穣の祈りとか、部族全体の儀式になりますが、ナバホ族の場合は人口が多いからか、基本、悩みや病気がある人がメディスンマンにこの儀式をしなさい、と勧められて行います。
なので、その特定の「患者」のための儀式、というのが基本。
イェイビチェイ
この下は私が書いた別ブログから引用。。。
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基本的に彼らの文化・信仰を守る為に伝統儀式はどこの部族でも撮影等の記録行為は禁止されています。
なのでその様子を伝えるのが難しいのですが、今回はちょっとだけイエイ・ビ・チェイ・ダンスの儀式の様子を想像してみてください。
イエイ・ビ・チェイ・ダンスは真冬のしんとした空気の中、真夜中から明け方にかけて9日間行われる祈りの儀式です。
この儀式に登場するのは以下の通り。
〝癒される人1人〟
〝メディスンマン(祈祷師)1人〟
〝歌い手数人〟
〝イェイ6体〟
精霊であるイェイは6体、チーフのイェイだけ羽の頭飾りにホワイトのマスクをしており、チーフ意外のイェイはブルーのマスクをしています。実はブルーのマスクのイェイでも一体ずつペイントが違います。
〝レインボーガード〟
〝レインボーゴット〟
ホーガン(丸太で作った伝統的住居)の中でメディスンマンによる祈祷、そして歌い手によるナバホ語の歌が儀式のはじまり。
それによってホーガンの中からイェイと癒されるヒューマンが登場します。
ナバホの人々によって見守られる中、8日間彼らは歌い踊り祈り続けるのです。
その姿は決して派手なものではなく、イェイとヒューマンの対話といった雰囲気です。
そして9日目の最終日にはレインボー・ゴットとレインボーガードが現れるのです。
守られるべき伝統儀式なのであまり詳細は教えてもらえませんが、ただ何時間もその光景を見守るナバホ族の人々の信仰心には驚かされます。
特に寒い中何時間もブランケットに身を包みながら儀式を見守るおじいさん、おばあさんをみるとなんだか感慨深いものです。
無数の星空の中、焚き火の光に照らされたイエイ・ビ・チェイ…思わず宇宙を感じさせる光景です。
ナバホ族の精霊と呼ばれるものは、それを精霊というのか、神というのか、可視化したものであるとしたら「イェイ」になります。
でも、ほかの二つの儀式ではイェイは登場しません。
ピヨーテミーティング
ネイティブアメリカンといえば、思い浮かべるティピーと呼ばれる移動式住居。
ナバホ族のリザベーションの中にこれがぽつんと立っていたら、それはピヨーテミーティングのためのものです。(もともとはもっと北の平原部族のもの)
ピヨーテミーティングは、ナバホ族の中でも信仰がかなり深い人がやる儀式。
ほかの二つの儀式には参加したことがあるけど、ピヨーテだけは参加しないという人も多数います。
スクオダンス
スクオダンスは、イェイビチェイの夏バージョンですが、イェイビチェイよりずっとずっといろいろと深い意味があり、儀式があります。
私は実際に見たことがないので(見に行こうとして、その時に車が雷に打たれた!!)もう少し情報をまとめたらスクオダンスについて書きたいと思います。
ルールを守れば見に行ける
サントドミンゴ族では8月4日は必ず「フィースト」と呼ばれる儀式というか、ダンスが行われています。ほかの部族でも、公に公表されているこういったダンスは、だれでも見に行くことができます。そのイベントや儀式にもよりますが、基本は、
「写真を撮らない」「指をささない」「当事者や部族の人々よりも後ろで見る」
この三つは通常のルールです。
毎回見に行けるわけではありませんので、チャンスがあったら是非見に行ってみてくださいね!!
アメリカ、ニューメキシコ州在住、居住歴10年。ナバホ族の夫とリザベーションで二人の子育てをしながらインディアンジュエリーにかかわる仕事をしています。インスタ、ツイッター、Facebook、Youtubeがありますがインスタが一番身近な感じかと。
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