ターコイズジュエリーの今後

Indian Jewelry

日曜日からプロパンガスが切れていて(自分たちの不注意ではなく、会社が来て入れようとしたらパーツが古いから入れられません、月曜まで待ってくださいって言われて切れてしまった。)ガス台が使えず、冷たいサンドイッチとレンジでチンでしのいでいます。

週末をはさむと月曜まで待ってってなるのはアメリカあるあるだと思います(笑)

 

さて、今日はターコイズの話。

うんちくではありません

 

ターコイズのうんちく本はたくさんあって、私が今日書きたいのはそこではありません。

ターコイズの何がいいか、何が悪いかなんてはっきり言って個人的な主観であるというのが私の意見。きれい!この色味素敵!と思ったら買えばいいのです。

 

ナチュラルかどうか、ハイグレードといわれるものかどうか、バイヤーとしての基本的な目利きはあります。それプラス経験や自分の知識で判断できるところが多いですが、実際科学テストに出してみたらスタビライズでもナチュラルと判定されるという抜け穴もあります。

ナチュラルであるかどうかにこだわるのは、お客様じゃなくていいと私は思いますし、ナチュラルじゃきゃいけないと店側が押し付けるのも違うような気がします。

 

現地のターコイズ事情

さて、私が書きたいのは現地シルバースミスのターコイズに関する現状です。

個人的な主観ですが何百人という一般的なシルバースミスを見てきているので、だいたいは合っていると思います。

ターコイズをカットできる人 20%
ターコイズの鉱山を言える人 3% 
ターコイズにこだわって作っている人 2%

 

どうでしょうか、思ったより少ない!?多い!?

インレイワークをする人はターコイズのカットができないと話にならないので、その人口も含めて20%。実際にインレイワーク以外で、石そのものを使うジュエリーを作る人でターコイズがカットできる人は8%ぐらいではないかと思われます。

 

この三つは、アーティストであるかどうか、こだわりを持って作っているかどうかに関わってくるのですが、実際「アーティスト」と呼ばれる人の中でもターコイズについては知らない人がほとんどという現状であるということを知っていただきたい。

 

ギャラップにある大型の材料屋さん、サンダーバードサプライ。

通常のジュエリー作家の人たちはそこで材料を買います。

一番いいグレードのターコイズはカラット当たり2ドル。

*日本のインディアンジュエリー屋さんで見るようなハイグレードターコイズだと、カラット10ドル以上が普通です。(ターコイズはグラムではなくカラット売りです。)

そう、安物しか売っていない。

先月行ったときは50種類以上あるであろうターコイズのなかで、ナチュラルのターコイズはそのカラット2ドルの一種類のみ。(もちろん時期によって少し増えるときやいい石が入るときもたまにありますが、現在は基本この品ぞろえ。)

※ちなみに10年前は、たくさんナチュラルターコイズが売っていました。(それだけ枯渇しているということでもあり、それだけ使う人が少なくなったということでもあります。)

 

普通にはナチュラルターコイズは手に入らない。

だから今、アーティストが普通にお店でナチュラルターコイズを買ってジュエリーに使用することは困難なのです。

それだけ、ナチュラルターコイズは当たり前に普通に手に入るものじゃないということ。

こだわるアーティストはディーラーやほかの売り手にたどり着くけれど、こだわらない人はスタビライズやプラスチックを使っていき、インディアンジュエリーに占めるその数は確実に今後もっと増えていきます。

シェルと呼ばれる貝も同じ、サンゴに至ってはターコイズの比じゃないぐらい激しく価格が高騰しています。

代用品が増えていく

これは全部スタビライズのキングマンターコイズ。

 

今後もっともっとナチュラルターコイズは普通の人が手に入れることができない高級材料となっていきます。

 

ディーラーが頑張って止めようとしても、鉱山主が頑張って掘り起こしても仕方のないことで、この現状は受け止めるしかありません。

中国産、ペルシャ産、エジプト産、メキシコ産などのターコイズも多くインディアンジュエリーに使われるようになっているのはこの背景があります。

多くの有名鉱山は80年代に閉山していて、その残りやコレクターの放出品を取り合っているという現状。値段が上がっていくターコイズを使ったジュエリーは一部のセレブにしか手の届かない商品となっていくことが目に見えています。

ターコイズ以外の石を使った作品も見ることが増えていくと思います。

プラスチック、科学テストに出してもナチュラルと出る人工的に作られた石、そういうものが使われると、「偽物」とか「これは本当の石じゃない」とか言われるけれど、その数は確実に増えていて、一般の人にはもう区別がつきません。

それがインディアンジュエリーの新しい形。

着物に化学染料を使うようになったように、インディアンジュエリーにも化学的な材料を使う。

その現状をただ否定してしまったら、もうインディアンジュエリーの未来はない。

バイヤーがまず一番に理解して受け入れなければいけないな、と思う今日この頃です。

 

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