スタンプワークの作風の違いがたまらない

Indian Jewelry

 

インディアンジュエリーの中で一番多い作品、スタンプワーク

 

インディアンジュエリーを扱っていると、「あなたの好きな作風はどんな作品ですか?」と聞かれることがよくあります。

私は「スタンプワーク」が一番好みです。

なぜかというと、一概にスタンプワークといってもとてもとても個性があふれて作家の作風がすごく表れるから。

 

シルバーにスタンプを施したスタンプワークは、バラエティーが多くインディアンジュエリーの中でも一番数が多い作品でもあります。

 

まずそもそもスタンプワークって。

トップの写真にあるのが「スタンプ」。超大量のスタンプですね。

スタンプは、鏨(タガネ)とも呼ばれます。

その材料は、自動車の中の古いパーツがほとんど。大きなスタンプだと、鉄道の線路に使われていた釘なんかを使うときもあります。

その古い鉄のパーツを拾ったりもらったり買ったりして、そこの先にデザインを刻んだものがスタンプと呼ばれます。

そのスタンプが釘の形そのままだったり、V字のただのタガネだったり、シンプルな線のものだったりすると「チゼル」と言われ、そのスタイルを「チゼルワーク」と言ったりします。

厳密にはタガネとチゼルには違いがないのですが、スタンプというといろいろなデザインが彫り込まれたもの、チゼルというとシンプルな線のものという区別がインディアンジュエリーの中ではされています

 

〇まず前提として、スタンプ自体を作れる人は非常に少ないということを覚えておいてください。

 

スタンプ自体を作れない人は、道具屋で売っているスタンプを購入するのですが、この「道具屋で売っているスタンプ」というのもナバホ族のスタンプを作る専門の人が手作りで作ったものがほとんどです。

で、この「スタンプを作る専門の人」の数自体が急激に減少しているので、特に大きいサイズのスタンプというのは非常に手に入りにくくなっています。

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スタンプは作家の命

スタンプワークは、シルバーにそのままデザインを刻んでいくものですから、「スタンプのデザイン選び」がそのままジュエリーの作風の良しあしに直結します。

まさにスタンプは作家の命

たくさんのスタンプを持っていればそれだけスタンプワークの幅が広がります。

そういう意味で作家のスタンプのデザインを見比べるだけでとてもとても興味深いです。

そのスタンプを組み合わせてどんなデザインを作るか、スタンプワーク以外にもワイヤーなどの細工も最終的な仕上げの出来には関係してきます。

何が違うか

スタンプワークの作家といえば、のサンシャインリーブス。

様々なデザインを駆使して一つの大きなデザインを作り、さらに隙間にもぎっしりと細かいスタンプを施す、「びっしりスタンプ型」です。

スタンプの数は、私が知っている作家の中で一番多いです。

 

濁りのない緻密なスタンプワークで知られるハーマンスミス。

彼は、スタンプを少ししか持っていません。

基本的でシンプルなスタンプを駆使して一つの作品を作り上げていきます。

今ある道具でどんなデザインができるかを知り尽くしています。

スタンプワークの伝道師でもあるエディソンスミス。

彼の特徴は、「自分で作ったスタンプ」確かに、ほかの人とは少し違うスタンプだと思いませんか?

他にスタンプを自分で作る人は若手ではライルセカテロがいますね。

 

スタンプワークとして知られていない作風の人でも、ターコイズのサイドにシンプルなスタンプを少し入れてみたり、石の周り部分にスタンプを入れてみたり、ほんの少しのスタンプ使いだけで一気に仕上がりの表情が変わります。

こんなに大量のスタンプを所有していても、自分が何を持っていて何を持っていないかをほとんどの作家がきちんと把握しています。

そして、これのもう一回り大きいのがあるといいなと思いながら道具屋でスタンプを見て、その先にはもうすでに出来上がりのデザインというのが見えている。

とてもとても興味深いです。

まとめ

以上を踏まえてそれぞれの作家のスタンプワークを見ると、とてもおもしろい。

商品になっていると何となく全体の雰囲気で判断してしまいますが、たまにはこうやって作家ごとに作品を見比べてみて細かいところまで考察してみると新たな発見があって、こういう時間がたまらなく好きです。

ぜひいろいろな作品を見比べてみてください。

スタンプはもちろん、手法、仕上げの磨き方、ロウ付けの仕方、はたまたデザインセンス、たくさんの作り手がいるインディアンジュエリーは見れば見るほど、比べれば比べるほど見えてくるものがたくさんあります。

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